さて、前回言ったように、今回は私の好きな文章についてです。自分の好きな文章を見直してみることで、何か得られるものはないだろうか?という試みです。
それで、取り上げたい書き手さんが二人ほどいたのですが、二人同時に書くのも長さ的にだらだらしちゃいそうなので、二回に分けて、一人ずつ取り上げてみたいと思います。
一人目は福田和也氏、まあ本も色々出してる方なので名前知ってる方は多いと思いますが、Wikipediaによると文芸評論家と書かれています。
この人が週刊現代で書いている「ナポレオンの見た夢」という、フランス各地を旅しながら、ナポレオンの話をしてみたり、レストランの料理についてあれこれ語ってみたりするエッセイがあるのだが、私はこれの文体がけっこう好きです。落ち着いていて、どことなく優雅さを感じさせる。
ちょっと引用してみたかったのだけど、週刊誌はあんまり長いこと手元に置いておかないので手元にちょうどいいのがなかった。週刊現代は350円くらいで売ってるから興味のある人は一度読んでみてください。
しかし、この人が昔SPA!でやっていた「罰あたりパラダイス」ではやたら過激で乱暴な文章ばかり書いている。確か第一回が、墓地に女の子を集めて酒を飲む(写真は撮っていたが本当に飲んでたのかはわかんないけど)なんてことをやっていたと思う。編集者の人には毎週毎週暴言ざんまいって感じでした。
今のSPA!では坪内祐三氏と対談やってますが、「罰パラ」ほどかっ飛ばしてないけど、なかなか過激で面白いことを言ってくれます。色々しゃべりながら、何気なくとってもおいしそうなもの食べてたりするところもけっこう好きだったり。
で、その過激な人が、「ナポレオンの見た夢」のような文章を書いている。なんとも多彩な芸です。やっぱりプロはすごいですね。
ということで、その技の少しでも盗めればと思い、本屋で「福田和也の文章教室」なる本を買ってきました。本の帯によるとブログをブラッシュアップしたい人なんかにもオススメのようで、なんだ私にぴったりじゃないですか。まあ途中で電車男について語るときに2chとブログを混同してそうな文がありましたが、まあ文章の書き方にその区別は必要ないので気にせず読んでみました。
基本的には、「もっと読みなさい」ということを言っています。様々な文学作品をあれこれと引用してそれぞれの魅力について解説してくれています。いきなり本屋や図書館に行っても何を読んでいいのかわからないので、こういうのはいいですね。紹介された中で、気になるものがあれば実際に全部読んでみればいいわけです。
でも、「もっと読め」というのはけっこう色々なところで言われますね、先日手にした詩の書き方の本にもそう書いてありました。やはり、カラオケ化現象の進む現代では、自分もやってみたいと思っても、読んで学ぶということはあまりしない時代になっているのでしょうか。私としても、書くのならそれよりもっとたくさん読むべきだと思います。
・・・でもそういえば、書籍はあれこれ読んだりしますが、人のブログって読まないな私、人気のあるブログなんか読んでみると、そこから学べることってあるかもしれないな。
それから、最後のほうには一本の記事を書き上げるまでの調査の過程が紹介されてます。さすがに仕事で文章を書く人は私みたいにGoogle様にお伺いしてヒットしたWikipedia読んで終わり、なんてわけにはいきません。遠くまで出かけて、関係者に話を聞いてみたりして、様々な方法で書く対象に迫っていきます。そうやって、ひとつの文章にそれだけの力を注げないのも、素人のブログの大半がつまらない大きな理由のひとつなんじゃないかと思います。とはいえ、時間を確保するのは大変ですが・・・
とりあえず、「福田和也の文章教室」は繰り返し読んで学んでみようと思います・・・
2007年1月
自宅にて
// Jack