2008年05月09日

詩集紹介「武者小路実篤詩集」

今回は武者小路実篤の詩集です。
同じタイトルで複数の出版社から出ていますが、私の手元には角川文庫のものしかないのでそちらを紹介します。

なんでこれ読んだんだったかな、確かどこかネット上でオススメしてる人がいたので読んでみたのですが、なかなかわかり易くて良い詩集です。

武者小路実篤という人はちょっと変わった人で、理想的な社会の実現を目指して「新しき村」という村を興しています(ただし本人はずっとその村に住んでいたわけではないらしい)。
当初は宮崎県にあったようですが、その後さらに埼玉県は毛呂山町にもうひとつ建設されているようで、その両方とも現存するとのことです。さらに調布市には武者小路実篤記念館というのがあるようなので、お近くの人は行ってみてもいいかもしれません。

理想的な社会を目指す・・・というのはわからなくもないですが、そのために村一つ興してしまうという熱い意志を持った人物武者小路実篤、作品にもその熱さがはっきりと表れています。

この道より
我を生かす道なし
この道を歩く。

(この道より)


実にストレートです。短いので熱い意志だけが強く残って響きます。

そうかと思えば、恋愛ものだって書きます。

我は汝を愛す、
汝は我を愛す。
汝は彼を愛せず、
彼は汝を愛せず。
しかも汝は彼と夫婦とならざるべからざるか。

(恋の悲劇)


まあ、時代が時代だったのだろうなという気もする内容ですが、淡々とした関係の列挙が最後の一文で悲痛な嘆きに変わる。少ない行で実に深く強烈に愛をうたいあげているというか、強いメッセージになっています。

引用の都合で短い作品ばかり紹介していますが、数ページにわたるような長い作品も多く書かれています。「恋人の夢を見て」という作品は4ページにもわたって、恋人に他の男と結婚しないよう訴えかけ、懇願しています。4ページにもわたって書けるのはやはりこの人の熱い性格の成せる技でしょう。こんな風に思われたら女性も幸せなんじゃないかなあと思います。

仮名遣いは昔のもの(最近は歴史的仮名遣いと言うらしい)で書かれてはいますが、内容のほうはあまり小難しいことは言わない、わかりやすい詩人なので、読みやすくするすると読んでいけると思います。

・・・と、紹介を書いてから気付いたのですが、私の持っている角川文庫のものは現在中古でしか手に入らないようです。内容は違う(それでも同じ作品が載っていたりするとは思う)ものではありますが、併せて新潮文庫から出ている詩集の方もリンクしておきます。



posted by Jack at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 詩集/書籍紹介

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。