2008年03月07日

おいしい詩集 ハルキ文庫 「長田弘詩集」

もうだいぶ前のことだけど、掲示板でみくがオススメしてくれた長田弘の詩集です。この「ハルキ文庫」の詩集は既刊の複数の詩集から選別した詩集のようで、なんというか、「現代詩文庫」シリーズみたいな作品が沢山詰まってるタイプの本です。

現代詩文庫は中身が詰まり過ぎで読み辛い(しかしボリューム的には最もお得な詩集のシリーズだと思う)ですが、こちらはそんなに多過ぎもせず、適度に読めます。普通の詩集(作品数はそれほど多くなく、ひとつひとつを読みやすい)と現代詩文庫(ぎっしり詰まってお得だけど読み辛い)の中間くらいの感じのシリーズです。安いし、入門編的にはちょうどいいですね。

さて、それでは長田弘詩集の中身の話に入っていきましょう。

元々掲示板でオススメしてもらったのは「一日の終わりの詩集」という詩集だったのだけど、そっちとはトーンがだいぶ違います、こちらは明るくて軽快な感じの作品が多く、作品数ではこっちの方がだいぶ多いのだけど、それでも読み易い。

この詩集には料理を扱った作品がけっこう多くて、料理のレシピであるとか、料理の話なんかが淡々と流れていって、最後に締める。という感じのスタイルで、料理について話している部分が読み易いので終盤の部分にまですんなり入れて、そうやって運ばれて来た締めの部分できっちり印象を残して締める。同じスタイルがいくつも見られるので、それは多分このひとの得意なスタイルのひとつなんだと思います。


>味をよくしみわたらせて、
>天ぷらを熱いめしにのせてつゆをかけたら
>あとちょいと蓋しておいて食べる。
(天丼の食べかた)


食べ物の話をすると、おなかが空いてきた。という人がいるけど、確かにこれはおなかの空いてくるような言葉です。始めて読んだときは無性に天丼が食べたくなった記憶があるし、今でも天丼を食べる度に思い出します。

食べ物の話っていうのは、話としての、文字としての言語としての情報以上に訴えかけるものがあるのかもしれない。なんていうか、食事って誰でもすることなので、みんなにイメージが浮かびやすいんじゃないかなと思います。

また、私が天丼を食べる度に思い出すように、日常的な食事の話は読んだ人が再び思い出しやすい作品になるようです。


くうか
くわれるか、
人生は食事だ。
(殺人者の食事)


こんな素敵な言葉が使えるくらいに、食のイメージの使い方がうまい人です。うまい表現がたくさん並べられているので、一冊読み終えると自分も食べ物について書いてみたくなります、自分も書いてみたくなるくらいに、この詩集を読むと、食事や食品や料理について、見えてくるイメージが大きく広がってきます。

素敵な作品がぎっしり詰まって、持ち歩きに便利な文庫本サイズで、値段も740円(税別)と安めなので、これはみんなにオススメしたい詩集です。人によって好みはあるだろうけど、うまい作品が集まっているのでこの値段なら特に損したと思うこともないと思うし、好みに合う人だったら、しばらくは持ち歩いていたいような、そんな素敵な一冊になるでしょうから。

ということで、これはぜひオススメです。
※同じ「長田弘詩集」って名前で他の出版社からも詩集が出ているから、買うときは注意しないと、ここで紹介した詩集とは異なる詩集を買ってしまうかもしれません。まあそれも面白そうですが。


posted by Jack at 02:40 | Comment(2) | TrackBack(0) | 詩集/書籍紹介

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